パンプスがないと生きられない

プリプリプリティな彼に再びどハマりした今野貴之系ジャニオタの綱渡りの日々

妙齢の女子が夜中に人目を忍んでジャニーズのDVDを見るということ

最近、私の周りはおめでたブームだ。

2015年はありとあらゆる友人から、「彼氏ができた」「結婚が決まった」「妊娠した」…など様々なおめでた報告を受けまくった1年であった。何もなかったのは私と、前回の記事に登場した大学時代の友人(以下、「友人K」とする)くらいのものである。昔から「超」の付くイベント好き・サプライズ好きである私は、暑い日も寒い日も、1年中ひたすらイベントとサプライズのために奔走する日々を送った。ウエディングソングをBGMに作業をする私の姿や、実家に届く結婚式の招待状や報告ハガキを見て、両親は「ついにうちの一人娘もいつ嫁いでもおかしくない年頃になったのか」と身につまされるものがあったらしい───というのを最近になって近所のおばちゃんから聞かされた。「彼氏いるんでしょ?相手は?どんな人?これから結婚する人は羨ましいわー♡」というお節介なフレーズとともに。田舎のおばちゃんは恐ろしい。

ごく最近まで、私にも夜中に人目を忍んで電話をする相手がいた。電話をし始めるとなぜか2時間、3時間と話が続いてしまい、とうとう朝になったことも度々もある。恋人ではなく、中途半端で、曖昧で、複雑な関係だった。そんな関係に疲れ、アイドルに、伊野尾慧に走ったというのは以前記事に書いたとおりである。

娘の就寝時間が早くなったことを、父はちゃっかり心配していたらしい。先日母から「もしかして」と鎌をかけられた。彼とのことを家族には何一つ話していなかったが、どうやら気づかれていたようだった。親とはやはり偉大である。「まあそんなこともあるよね」と言葉を濁したが、それから両親は仕事終わりに私の好きなものを買って帰ってくるようになった。ケガの件もあったので余計に心配してくれたらしい。そんな両親を前に、ものの数日で伊野尾慧くんに夢中になりましたよー、かつてあなた方の娘がハマっていたいのちゃんですよー、だからもう結構…いやかなり、99.9%くらい大丈夫ですよー、なんて言えるはずがなかった───のだが、昨夜遂に父に見られてしまった。リビングの大きなテレビの前で、ニヤニヤしながら「Smart」のDVDを見ているところを。

 

私は昔から勉強や仕事、作業などの片手間にテレビを見ることが多い。録画番組に至っては2倍速で見る。テレビだけに意識を集中させて見たことがあるのは、かつての「少年倶楽部」や「Ya-Ya-yah」、それから東方神起のDVDくらいである。また、一分一秒という時間が惜しく、テレビをつけながら音楽を流し、パソコンで作業をするという暴挙っぷりを発揮し、その昔父に「何か一つに集中しろ!」と怒られたこともある。そんな私が、テレビだけに意識を集中させてニヤニヤしていたのである。しかも、こともあろうかちょうど見ていたのはアリー、イーノ、オカモトケイトによる「愛追I隊」のパフォーマンスであった。───父はきっと寝ぼけた頭で思っただろう。妙齢の一人娘は思い詰めるあまりに頭のねじをどこかに落としてきてしまった、と。すべては父のタイミングが悪かったのである。父は翌日、私の好きな食べ物ランキング上位に食い込む肉まんを買って帰ってきた。そこには何か複雑なメッセージが込められていそうだったが、気づかないふりをしておくことにした。

そんな我が家の静かな大騒動は置いておくとして、「Smart」はいい意味で、私の中のHey!Say!JUMP像を打ち破ってくれた。私の記憶の中に鮮明に残っている彼らのパフォーマンスは、デビュー曲の「Ultra Music Power」である。8年という歳月は彼らを少年から大人に変えた。DVDの中の、横浜アリーナの舞台に立っていたのは、あの頃の面影を残しつつも、一回りも二回りも大きく成長した彼らだった。気分は息子たちの成長を見守る母さながらである。再生して数分は、ただただ「よくぞここまで…」と、ただただ歓喜の思いでいっぱいであった。その後はただひたすらニヤニヤしながら彼らのパフォーマンスを堪能した。そして、ニヤニヤしながらふと気づいた。どうにもこうにも目がちらちらするのだ。9人全員に目線をやるとそうでもないのだが、その中にいる自分のお気に入りを追いかけようとすると、すぐさま目がちらつき始める。私のお気に入りのいのちゃんだと思って追いかけていたら、有岡の大ちゃんだったことが何度もあった。しかも彼は「見切れアイドル」という異名さえ持っている。───動体視力が鍛えられることこの上ない。近所の老人会の皆さん方と「ウォーリーを探せ」ならぬ「伊野尾を探せ」をテーマに鑑賞すれば、盛り上がること請け合いである。下手に目の体操をするよりも、イケメンを見て視力を鍛えた方が楽しいし女性陣には確実にウケるはずだ。かくいううちの祖母は、本日突然福士蒼汰にハマってしまった。「専業主婦で休む会社もないから安心しなさい」と笑いながら人参を刻むその背中に、頼もしさを覚えたことである。

───なんだか限りなく余計なことばかりつらつら書き並べてしまったが、とにかく彼らはカッコよくて、可愛くて、面白かった。

そして私はまた一歩、沼の中に足を踏み入れてしまった。